他大学で研究してきました〜

お久しぶりです、とぅるんです。

みなさんご無沙汰してます。猛暑の夏、いかがお過ごしですか?

私は6月に一度日本に帰国したのち、7月から2ヶ月間シカゴに住んでいました。そこではノースウェスタン大学の機械工学科でインターンをしていました。

グリネルに通っているのに別の大学でそんなことできるの?と思われた方もいるかと思いますが、グリネル大学では物理や工学系の研究機会が少ないので、やる気ある学生は皆他大学にアポをとって夏季期間研究をするのです。もちろんグリネルでもMAPというプログラムがあるのですが(以前りんろんさんが記事に書かれています)、コロナ後どうも教授が生徒をあまり持たなくなってしまい、今年は10人以上いる物理の教授のうち1人のみが生徒を募集していました。その教授は宇宙物理学の研究をしていて、興味があるといえばあったのですが、宇宙工学にやがて手を出したい自分としては工学の研究をやってみたいなという気持ちが強く、外部の大学で研究室を探しました。

所属していた研究室がある工学系の建物、通称”TECH”

私が所属している研究室は超音波センサーによる近距離での音響浮揚について研究していて、日本でも数年前に落合陽一教授が東大に所属していた時にメディアに紹介していたことで有名になった原理です。簡単に説明すると、格子状に並べられた超音波センサーが高周波数の音の波を発することで、表面に置かれた紙などの物体が共鳴振動して浮揚するという現象です。この現象は周波数をいじることで指でも振動を感じることができるくらい強力で、実用化されるとガラスや金属といった物質の手触りを模倣することができたり、スマホのスクリーンをタッチした時の振動フィードバックを再現することができたりするわけです。私は数名の院生のもとでこれに関する実験と分析を経験しました。

Northwestern大学の図書館
夜のノースウェスタン大学図書館

大学に入ってやりたかったことの一つが研究です。グリネルにきて少しがっかりしたのですが、教授の元で物理や工学系のリサーチはあまりなされておらず、皆授業が全てという感じです。研究したい教授はsubbatical leaveと言って数年間授業を教えずに研究に専念するそうで、僕の大好きな日本人の教授はそれでグリネルを一時離れてしまうようです。また、助教授と名のつく若手の教授は研究を続けているのですが、年のいった教授たちは研究を終えてしまっているので、一番興味のある非線形力学が専門のグリネルの教授とは研究できそうにありません。。。大学に来て、特に物理や工学系の研究をバリバリやるぞ、と思っている人には、グリネルはあまり向かないのかもしれません。

(聞いた感じですが、生物化学専攻の生徒は卒業までにMAPを取らないといけないようなので、物理に比べて大学内で研究の機会が多く用意されている気がします。科目によっても差がある様ですね、参考までに)

他にも、研究系大学ではREUという公式のリサーチプログラムがあります。こちらは去年ラマさんが記事にしているので割愛します。

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ぐずぐずしていたら前回の自己紹介の投稿から一年も経ってしまいました!もうすぐ4年生になるラマです。今回は私がこの夏にやっている、数学の研究...

自分は大学院を目指しているのですが、有名な研究室・大学に入るには研究経験と教授とのコネが大事なように思えてきました。で、宇宙工学を院で専攻するには工学の知識と経験は大いに大事です。MATLABやPython、C言語が使えるか、研究室での経験はあるか、論文などペーパーを出したことはあるか、などなど。しかし物理専攻で研究経験のない私にとって程遠い話です。実際、他大学が募集している夏のリサーチプログラム(REUを含む)には全て落ちてしまい、狭き門を感じました。(教授には研究経験のない2年生にはもともと難しいよとアドバイスをもらえましたが。)今回自分が所属した研究室は高校時代の先輩の紹介で繋げてもらい、3月ごろに自分からメールを送ったところOKをもらいました。他にも自分で複数人の教授へメールを書いたのですが、ポジションがないだったりそもそも外部生を受け付けてない、などと言われダメでした。返信率は50%程度だったと思います。レジュメを貼り付けたり教授の論文を読んでその分野についてコメントするといいように思います。体感ですが。

そして、コネクションです。これが難しいですよね。友達には、グリネルの教授の院生時代のアドバイザーだった教授につなげてもらって隣のアイオワ大学で研究をしていたり、高校時代の先輩は所属している教授のつながりでUCLAの研究室を訪問していたりと、やはりいきたい研究室に何かしらの繋がりがあると強いように思います。教授にとっても、院試で見ず知らずの生徒を入れるより、知っている教授の教え子をとった方が安心ですしね。自分にとって今ここが課題です。グリネルの教授の過去の共同研究者とかを調べてみて、興味ある分野の研究室を探してみようと思います。また、すでに行きたい研究室のリストを書き始めていて、どうやって繋がりを作るか、アプローチするか、これから考えていかなければなりません。。。

話は戻りますが、今回の経験を得て、自分は工学のマスター(修士)を目指したいと強く思うようになりました。日々論文や実験を通して興味ある分野について調べていく過程は、自分がその分野の最先端を突き進んでいるようでとてもワクワクしますし、きびきびと会社で働くより今の自分に合っている感じがします。今回の研究も非常に興味深かったですが、今度はプログラミングを使った計算系(computational)研究をしてみたいです。今自分は統計物理、非線形力学、カオス論、などの数学に寄った物理に興味があるので、今後大学でも統計や数学の授業を通して知識を深めていきたいと思います。

大学の建物からミシガン湖が見えます

知らなかったのですが、日本の物理はアメリカと比べてもレベルが高いようです。論文を見ていても、日本の研究者の名前をよく見る気がします。今の研究室で使っている実験機材も日本製が多くてびっくりしました。日本の大学院を考えてみるのもいいかも知れませんね笑(外部院試は難しいようですが…)

今回は少し長くまとまりのない文章になってしまいました。

もう秋学期が始まって三日ほど立ってしまいましたが、今年度は更新頻度高めで頑張ろうと思います。

また授業紹介も記事にします。

ではまたー!