グリネル1年目の回想ー落第しかけた話・前

Kwame

先学期受講した授業の一つに、「地域と地球の環境学」という授業がある。日本でいういわゆる楽単だという口コミを授業登録したのちに知り、ラッキーと思っていたら学期を半分過ぎたあたりに痛い目を見た。

この授業はリベラルアーツにしては講義中心の授業で、成績は期末試験とレポート、3回の通常テストからなる。ちなみに期末試験は任意制で、良い点数をとれば3回のうち最も出来の悪かったテストの点数を帳消しにできるシステムがあった。

いざ授業が始まると教授はよぼよぼのおじいちゃんで何を話しているか聞き取れず、授業4回目当たりで真剣に聞くのをやめてしまった。おじいちゃんが孫に昔話を聞かせるような彼の講義は、子守歌として学生に襲い掛かった。米国人のクラスメイトも、教授が明瞭に話さないから何を喋っているかわからないと、ネイティブにもかかわらず言っていた。先輩に聞いてもテストは勉強ガイドもらえるから一夜漬けで大丈夫と言われて、授業が分からなくても変な安心感があった。

しかし、勉強ガイドを使ってクラスメイトと一応勉強した後に受けた最初のテストで、そこそこ手ごたえはあったものの、グリネルで初めて落第にあたる40点を取ってしまった。するとアカデミックアドバイザー、学生サポートオフィス、留学生オフィスなどから「大丈夫?教授と話しなさい!」みたいなメールがどんどん届き、リベラル・アーツ・カレッジ教育の手厚さを実感したはいいが、期末試験頑張れば点数帳消しになるからいいか、と適当にやり過ごしてしまった。

2回目のテストもこんな感じだと少しやばい、と思い今度は真面目にノートをとり、テスト前は1回目よりも勉強し、準備万端で臨んだ。しかしいざテストを受けてみると、1回目より難しくなっていた。答えられない問題もあり、自分では1回目よりも出来が悪く感じた。落第点は必至であった。勉強したにもかかわらず1回目と差がない結果に自分の無能さを感じ、このままでは単位を落としてしまう、というかもはや落単確定かと思い絶望的な気持ちで教授にメールを送った。

米国の大学での落単は、就活や大学院に影響するGPA(成績平均評定)の破綻と下手をすると退学を意味する。冷静に考えれば大丈夫だと思うが、大学からもらっている全額奨学金も打ち切られるのではないかと、年間600万円の学費が頭をよぎり、メールを打つ手が震えた。
切羽詰まり、「教授、教授の英語が全く理解できず、どうすればいいかわかりません。一所懸命勉強してもテストが全然わかりませんでした。自分で解決すべき問題だとはわかっていますが、本当にもうどうすればいいかわかりません。助けてください。」という哀訴嘆願のメールを送った。

次の日に、まだ引きずって放心していたころ、教授からオフィスに来るようにとのメールが入った。

後編に続く

Kwame