あなたは誰ですか?

こんにちは、みつきです。

期末試験週間ですが、残るところ社会学のペーパー一つで、意外にものんびりしております。帰国する気満々で、パッキングを始めたところたまたま発見した、宮沢賢治のある作品を一人自分のベッドの上で読み始めたところです。高校時代までは、いわゆる見栄っ張り”意識高い系”の自己啓発本しか手に取らなかったこの僕が、日本文学を自発的に読んでいるのは驚きの光景です。

これが僕の紹介したい「グリネルに来て驚いたこと」。

「僕日本人です」感が自分の中でものすごくおっきくなってきた、ということ。

この驚きはグリネルだけには限らないと思います。異国の地である程度長い期間生活すれば、こういうおどろきに誰しも遭遇することだと思います。

さて、みなさんこういう質問にはどう答えるでしょうか。

「あなたは誰ですか?」

自分の名前を言うだけでしょうか。年齢と出身大学を付け加えて100点満点の解答でしょうか。あ、趣味とかも少し紹介してみると自分らしさが出てくるでしょうか。考えれば考えるほど、これも言いたい、あれも言いたい、っていうことが出てくるのではないでしょうか。

グリネルに来て、当たり前のごとく自己紹介にいつも付け加えていることがあります。それは

I’m from Japan. 僕日本人です。

別に普通です。

僕だけじゃなくて、アメリカ人だって、ベトナム人だって、中国人だって、コロンビア人だって、ブラジル人だって、みんな「僕/私は○○人です」、って毎日のように言います。

僕らが東京で誰かに初めて会うときに、名前と出身高校を自己紹介に入れていたように、グリネルでは出身国を言います。

日本ではなんで「日本から来ました」って言わなかったのでしょうか。答えは簡単で、日本では会う人ほぼ全員が日本人だからです。見た目と言葉で、「僕日本人です」なんて言わなくても伝わるからです。

I’m from Japanと言い続けて1年半、なんだか日本のことを知ってなきゃいけないような責任感というか役割みたいのを感じる一方で、全然日本のこと知らない自分がいるんです。自分の高校のことはもう少しいろいろ話せたのに、自分の国のことになると頭の中には「鎌倉幕府1192年」とか「徳川家康」とか「夏目漱石の坊ちゃん」とかとても断片的でなんのやくにも立たない歴史の人物の名前や数字ばかり出てくるのです。日本って自分のことなのに、全くじぶんのことじゃない気がしてくるんです。地球の何処かにある、まだ僕が行ったことのない想像の世界なんだよ、という方が納得できるかもしれません。

悔しさというか、悲しさ、情けなさ。

それと同時に、純粋にもっと日本のことを知りたい、という気持ちが湧いてきます。

その気持ちが、僕が自然と「銀河鉄道の夜」に手を伸ばすのを後押ししてくれるのだと思います。

みなさんには「自分は日本人だ」という感覚があるでしょうか?

「あなたは何者ですか」という問いに自分なりの答えを用意してみると、何か面白いものが見えてくるかもしれません。