社会学はツンデレ? 専攻を選んだ理由②

専攻を選んだ理由2

お待たせしました。気になる社会学者第1位と、社会学が「ツンデレ」である理由の発表です。え、別に待ってなかった?前回の記事の内容も忘れた?そんな人はいないと思いますが、第2位まではこちらに載っています。

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ブルデュー。優しそう。

第1位 ピエール・ブルデュー

最近まで生きていたフランスの社会学者、ブルデューは、教育と社会階級を研究し、社会的地位の再生産のメカニズムに光を当てました。

マルクスと違って、お金だけでなく、文化や教養、習慣なども、格差につながっていると説きました。例えば、クラシック音楽や古典文学についての知識から、服装やテーブルマナーまで、様々な要素が社会的流動性(地位の上昇の易しさのこと)を左右している、という論理です。

文化資本、ハビトゥスなどの概念を生み出し、目に見えない象徴的な要因に着目したブルデュー。社会学の発展に大きく寄与しました。

では、なぜ社会学が「ツンデレ」という印象かというと、それは恵まれた人には優しい反面、そうでない人には残酷だから、そして、個人の負担を和らげる反面、社会の厳然たる圧力を思い知らされるから、だと思います。この学問の特徴は、個人の行動は環境によって決まる、という行為主体性の最小化です。例えば、個人的な決断と努力の結晶に思える大学受験も、社会学的には、学位の取得は職業の質(ステータス)に直結するし、勤勉さなど勉強の習慣(ハビトゥス)、また両親の「大学は行くべき」という認識(情報資本)と、子供を塾に通わせるだけのお金(経済資本)に支えられている、と言うことができます。

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社会学の研究対象を表したワードクラウド。興味のありそうな分野は見つかりますか?

僕は社会学のこの現実的な分析力にハマってしまいました。もともと、「才能」とか「常識」とか生来的とされるものに懐疑的で、留学を経て、自国の文化や習慣を客観的に見られるようになり、個人の外の要素、環境への関心が高まったのだと思います。

社会学の考え方は、自分という人間を、社会の構造に照らして具体的に説明してくれ、また自分の環境に感謝し、他人の背景に配慮する、という謙虚さ、寛容さを与えてくれるのではないでしょうか。この多面的な批判的思考は、リベラルアーツの根幹をなす部分かもしれません。この「ツンデレ」効果、恐るべし。

でも人間って100%社会的な生き物かな、と疑問に思うので、ドイツ語を通じて文学の力も借りているのです。でもその話はまた今度。次はもう少しユルい話にしますので、お楽しみに。