グリネルのコロナ事情 -学業編-

以下の記事は冬休み中に執筆したものです。公開がだいぶ遅れてしまい申し訳ありません。今年(2021)の秋学期からはグリネルカレッジは対面式に戻るということで、あまり参考にならないかもしれませんが、こんな感じだったんだなぁという程度に楽しく読んでいただければ幸いです。

————————————————————–

あけましておめでとうございます。
私ぴょんは、グリネル最後の冬休みをグリネルで過ごしているところです。学期中になかなか読めなかった気になる本を読んだり、好きな曲をスピーカーで流しながら一人ダンシングカラオケをしたりと、一人っきりの年越しを大満喫しました。家族には早く会いたいですが、たまにはこんな年末もいいですね。

前回の記事はコロナ下のグリネル生活について書きましたが、今回は前学期(2020秋学期)の授業の様子について書こうと思います。あくまで私個人の経験ですが、お付き合い頂けたら嬉しいです。(ちなみに、写真はオンライン授業の際の私の勉強机です。ほぼこの場所で勉強するので、自分の部屋の環境にとても気をつかうようになりました。)

一学期が前半後半に分かれることに

昨年度までは秋学期・春学期の二学期制で、各学期3または4クラス受講するシステムだったのですが、今年度はそれぞれの学期が秋1/秋2、春1/春2と分かれて各ミニ学期に平均1-2クラス受講するシステムとなりました。また、各学期の最低限度の単位数なども見直され、パートタイム学生などのオプションもできました。

これにより、秋学期の前半だけ休学、秋学期の後半はパートタイムで学生、等々フレキシブルにコロナ下での学生生活スタイルを選択できるようになりました。同学年の友人や後輩たちも、自分に一番適した1年間の使い方を一生懸命考えながら過ごしていて、苦労や悩みは尽きないものの貴重な人生経験になったのではないかと思います。

ぴょんの秋学期1

私は秋学期1には以下の3クラスを受講しました。

Industrial Psychology -産業(組織)心理学

このクラスは、リアルタイムで講義をしつつ、録音も授業後にアクセスできました。生徒は講義に参加しても録音を聞いてもどちらでもOK。時差のある学生にもフレンドリーな形式でした。
オフィスアワー(教授に質問や相談できる時間)も週に複数回異なる時間帯にひらかれていて、私は人と話したさに毎回参加していました(笑)教授が参加している生徒ひとりひとりに話を振ってくださったので、オンライン授業ならではの悩みなども共有できる貴重な時間でした。

課題も、「コロナ下でのリモートワークにも対応できるような生徒をリクルートできる、新しいアドミッションのシステムを考える」など、時世を反映したものが多かったです。組織における人材のリクルート、チームの機能させ方、などとても応用/実践的なクラスでした。

Introduction to Environmental Science -環境科学入門

環境科学入門というタイトルですが、地学がメインです。宇宙、地球、地層、火山、地震、環境問題、などを広くちょっぴり深く学べるクラスでした。久々の100番台のクラス(入門レベル)はだいぶ余裕をもって取り組めたこともあり、改めて3年間の自身の成長を感じることができました(笑)

水曜日の2時間半のラボ(実験・フィールドワーク)を除いては、自分のペースで教授が事前に録画してある講義を聞き、課題に取り組むという、これもまた海外に住む学生にフレンドリーな授業形式でした。このような自主学習的な授業形態により、各生徒の計画的に課題を進める能力や積極的に質問する力などが明るみになったと感じています。個人的には、録画を2倍速で再生したり、少しでもわからないところはビデオを止めて調べたり、と今までよりも効率良く時間が使えた印象です。

しかし、フィールドワークや実験が、教授の集めたデータを分析するだけにとどまってしまったのは少し残念でした。コロナが落ち着いたら是非自分の足で大自然を散策し、この鬱憤を晴らしたいです!!!

Private Lesson: Advanced Violin -バイオリンレッスン

毎学期欠かさず取っているバイオリンのクラスですが、これだけはやはり対面式の方が圧倒的に良いです。インターネットを介すると、双方伝わる情報が半分以下になってしまいます。

ぴょんの秋学期2

Botanical Imperialism -植物地政学

面白そう!!と飛びついて思わず取ってしまったクラスです。

農業、畜産業の起源から始まり、様々な種が何処を由来としどのように他の地域に移ったのか、誰のどのような意図で(もしくは意図に反して)持ち込まれたのか、それが疫学的に、社会的に、そして政治的にどの様な影響を及ぼしたのか、等々、動植物の移動を通して人類の歴史を振り返る内容でした。とりわけ、異種の移動によってもたらされる疫病の流行やその媒介によって進む植民地化は興味深く、現在のコロナウイルスの長期的な社会情勢へと思いを馳せていました。

このクラスの教授は、70歳を越える冒険家のような方で、授業はまるでおじいちゃんの昔話を聞いているような雰囲気でした。教科書も詳しい説明付きのパワーポイントもなく、聞くことが唯一の情報源の(しかも教授の説明に用いる単語がずば抜けて難解の)このクラスは、留学4年目でも少しチャレンジングでした。授業が録画されていて、後日復習に見返せることが救いでした。そう考えると、オンライン授業にも対面式とは異なるメリットがあったように思います。

Independent Study: Electronics and Design -電子工学とデザイン

Independent studyは、教授と1対1で個人プロジェクトを進めることのできるクラスです。物理のクラスは入門レベルしか取ったことがない私でしたが、夏休みから準備・学習を始め、電子工学の分野に詳しい教授を説得し、なんとか漕ぎつけました。このクラスは実験を含むこともあり、秋学期の中で唯一の対面授業でした。

具体的には、視覚に障害のある方も建築を楽しんでもらえるよう視覚情報を聴覚情報に変換する帽子をデザインするプロジェクトでした。視覚一辺倒になりがちな建築教育に疑問を呈するという意味も込めており、また個人的に興味のあったセンサーテクノロジーの建築への応用を試す第一歩ともなりました。

コンピューターサイエンスも電子工学も授業としては取ったことがないのにも関わらす、この様な機会を下さった物理学の教授に感謝しています。またグリネルカレッジだからこそ、この様な非常に学際的なプロジェクトを遂行するのが可能だったと思います。Independent studyには大学のacademic dean(教育長?)の許可が必要なのですが、グリネルカレッジの懐の深さを実感しました。

来年度からは?

来年度(2021年秋~)からは、グリネルカレッジは対面式の授業や二学期制に戻るというお知らせがありました。今グリネルにいる学生は皆ワクチン接種が可能で、秋学期に戻ってくる生徒もワクチン接種が条件だそうです。ワクチン接種が(健康上の理由ではなく地理的な理由で)不可能な生徒については、グリネルに到着次第摂取してもらえる予定で、万全の体勢で秋学期から学生を受け入れようとしている大学の意気込みを感じます。

いかがでしたか?久しぶりの投稿となってしまいましたが、卒業まで定期的に記事を出していきたいなと思っています!乞うご期待。

ぴょん