自分で専攻を作っちゃえ!❷ ~Independent Majorの良し悪し~

皆さんこんにちは、ぴょんです。
実は今ロンドンに留学中なのですが、街がクリスマスのライトアップで照らされて、歩くだけでウキウキしてしまう季節になってきました。ロンドンでの留学生活は、また今度紹介していきます。

今回も引き続き、Independent Major について。デメリット、メリットを書いていきたいと思います。

Independent Majorのデメリットは?

1. プランニング・卒論にかかる労力

前述した通り、ただ専攻するだけでエネルギーを使います(笑)  ただ、本当に好きなことを追求するためのプラン+本当に興味のあることの研究なので、やる気次第ではあまりデメリットと感じません。私は終始ワクワクしながら4年の計画を立てていました。

2. 自分の作り上げたMajorがおままごとではないかという自問自答

他の生徒たちが一つまたは二つの専攻を終え、ある分野でそれなりの技量を蓄えたという保証がある中で、Independent Majorにはそのような保証はありません。どのデパートメントの卒業Requirementもクリアしていないからです。それ故、複数のデパートメントから自分のテーマに沿った授業を選択していった場合、どの科目も中途半端な知識を持つだけの、それこそ20歳そこそこの若造が興味の惹かれるまま甘い知識を組み合わせ研究らしいことをする、お遊びに過ぎない大学生活になってしまうのではないか、という不安がありました。この不安は卒業するまでずっと付き纏うかもしれませんが、お遊びになるか意義ある興味深い研究になるかは本人次第。言ってしまえば既存の専攻でも、肩書き的にはそのような保証があっても中身が伴うかは人それぞれですから。常に自分のしていることに厳しい目を向け、取っているクラスの内容を最大限まで掘り下げ、深い思考を持つ教授達にもアドバイスを頂きながら、後々後悔しない大学生活にしたいものです。

3. 外部の人間がジャッジしづらい学業成果

これも二つ目のデメリットと同じく、既存の専攻と比べ、大学生活何を勉強してきたの?というのが曖昧に見えるということに由来します。例えば就活の時、「私は〇〇学部専攻で大学を卒業しました」と言えば、その他の経験やアピールポイントは置いておいても最低限この分野でこのレベルのことは出来るだろうと企業側は安心感を抱きます。しかし、Independent Majorの場合、勉強してきたことは興味深くても、その人の知識やスキルはどこか曖昧で不安を与えてしまう可能性もあるのです。実際、私は都市設計・デザインのIndependent Majorですが、他の大学で既存の都市設計・デザインを専攻した生徒とは、学んできた内容はだいぶ異なると思います(都市設計・デザインとはいえ、それに直接関わるクラスはGrinnell Collegeにはないため)。環境科学、芸術史、心理学がどう都市設計・デザインに繋がるのか興味を持ち、私の卒論を読んでくださるような企業があれば別ですが。私は大学院進学を考えており、アメリカの都市設計・デザイン、そして建築の大学院は幅広いバックグラウンドの生徒を(意図的に)受け入れているので、意義ある卒論や制作作品が大学院への道に繋がっていけばいいなと思っています。

Independent Majorのメリットは?

1. 卒論によって、専門的+学際的に学ばざるを得なくなる

Independent Majorでは、複数の分野を300レベル(学部での授業の中では深いレベル)まで学び、さらにどのように自分の卒論で学んだ内容を「繋げ、組み合わせていく」かまで考えさせられます。リベラルアーツの教育システムを有効活用した上で、教授の方々からアドバイスを頂きながらそれぞれの分野の繋がりまで(強制的に)考えさせられるのは、Independent Majorの特権です。(逆に、Independent Majorという形を取らずに学際的な研究を学部時代にするというのは、なかなか困難だと思います。分野ごとの専門的な研究は既存のメジャーで参加できますが、興味のある内容かは教授次第かもしれません。)

2. 大学院で一つ分野を狭く深く勉強する前の良い準備期間になる

ずば抜けた専門性が必要な分野が増えてきた一方、学際的なアプローチが必要な分野もまた多くなってきました。建築・都市設計は後者の中でも最たるものでしょう。大学院では専門的に建築もしくは都市デザインを学ぶこととなるのですが、心理学的な視点、環境科学的な視点、芸術史的な視点は間違いなく私のデザインに影響を与えることになるでしょう。また、将来心理学、環境科学、芸術史などの分野の専門家とコラボしてプロジェクトを進めたい場合、その分野の引き出しがあるのとないのとでは大きな差を生むと私は思っています。学部生時代の知識とはいえ、複数の分野へのフックがあるかないかで思考の範囲も限られてきます。大学院で専門性を極めるからこそ、学部生でいるうちに、様々な授業で見識を広げその「繋がりを考える」訓練をする、そんな良いトレーニング期間になると思います。

3. 「おままごとになる」不安があるからこそ自分の学びに常に批判的になれる

デメリットに書いた、自分の勉強がおままごとなんじゃないかという不安。これが付き纏うからこそ、授業に対するハングリー精神が人一倍強くなっているなぁと感じます(笑)ぼーっとしている数秒での教授の一言が卒論でのKeyになるかもしれない、あまり深く授業では扱わなかったここが関係してそうだからOffice Hourに行ってみよう、こんな浅いエッセイではこの分野だけを専攻している人に失礼になってしまう、etc.
色々な分野をなんとなく学んでなんとなく纏めるというのが一番見たくない結果なので(しかもそれでは恐らく筋の通った研究にならない)、自分の学びには常に疑問を投げかける様になりました。

4. 自分自身もかなりIndependentにならざるを得なくなる

4年間でとる授業、組み合わせる分野、卒論の内容、将来の進路、全てにおいて前例がない中自分自身で考え出して選択していかなくてはならないのがIndependent Majorです。教授からアドバイスは頂けるのですが、あくまで自分の意見に対してであって、何をしていいかわからない、どうしていいかわからない、という問いには答えてくれません。(むしろその様なことをいうと、「じゃあ既存のMajorにすればいいじゃない」と言われてしまいそうで、言えません(苦笑)) その様な状況では、自ずと積極的に様々な機会・人にリーチアウトしていく様になりますし、何より自身の選択に責任を持とうと思える様になります。Independent Majorにしたのも私の責任。この授業と決めたのも私の責任。将来こうしていこうと決めたのも私の責任。正直、少し怖いこともあるけれど、自分で決めたことだから仕方ないと腹をくくれます。

以上、Independent Majorのデメリット・メリット、書き出して見ました。

読み返して思うのは、4年間でこれが研究したいという強い興味があり、それを実行する熱意がある人、そしてIndependent Majorをした上での将来設計が見えてきた人にはとても魅力的な選択肢ですが、何と無くでIndependent Majorというのはリスクが大きいということです。

もう1つ。1、2年生で様々な授業をとってみて、本当に興味のある分野の専攻(特に実践的な専攻ですね)が大学に存在していなかったと気がついても、基礎的(初級的という意味ではなく基礎研究の基礎です)・理論的な沢山の授業を深くまで学ぶ自由がきくGrinnell Collegeでは、自分の興味ある分野への道しるべが沢山転がっています。
有効活用するかしないかは自分次第です。

ぴょん