高度20,000mからの景色

打ち上げ直前のバルーン

こんにちは

こうたです。

5月はファイナル、その後はロシアへのフィールドトリップが2週間あり、久しぶりの更新になってしまい申し訳ないです・・・

さて、グリネルでの1年目も終了し、いろいろと思うことはたくさんありますが、今回は5月の上旬に行ったバルーンの打ち上げについて紹介したいと思います。

僕はGrinnell Space Exploration Agency、略してGSEAというクラブに所属しています。そこでは観測機器を載せたバルーンを宇宙近くまで飛ばす、という面白いプロジェクトに取り組んでいます。創設2年目で僕は先々学期の終わりに参加をしたのですが、初めての打ち上げが5月7日の早朝にありました。

バルーンについての詳細

観測機器が入ったボックス アンテナが四方に飛び出している

バルーンには上記の発泡スチロール製のボックスが吊り下げられており、この箱内にはArduinoというクレジットカードサイズのコンピュータと写真を撮るためのデジタルカメラを搭載しています。

Arduinoには気温、気圧、GPSが接続されており、常時それらの情報を無線で送信し続けるようプログラムしました。

僕は主に無線の部分を担当し、Arduinoが文字情報を送信し、ノートパソコンでその情報を確認できるようになっています。

プロジェクトへの取り組み

他のライターが既に書いてあるとおり、グリネル生はなぜか皆忙しくしています。

そのため、このプロジェクトもなかなか進んでいかないなというのが、正直な感想です。

基本的に1週間に1度、約1時間ほどの作業時間がありますが、忙しい週にはキャンセルになるので、思うようには作業が進んでいきません。

また人数も約10人と少人数で、観測機器の開発だけではなく、フライトプランの提出なども必須で、やることは山積みでした。

そんなこんなで当初の予定よりも約1年遅れての第1回打ち上げが行われました。

高度2万mからの景色

結果を言うと、写真が保存されたSDカードを回収できず、半分成功、半分失敗といったところです。

初めての打ち上げということもあり、失敗前提での打ち上げでしたが、途中までは順調に進んでいきました。

早朝にバルーンへのヘリウム充填から始まり、バルーンは打ち上げ後もしっかりとGPSの情報を送信し続けていました。

ヘリウムガスの充填作業

バルーンが豆粒ほとの大きさに見えるほど遠くからでも、バルーンからの信号を受信したときは皆も大歓喜でした。

豆粒ほどの大きさに見えるバルーン これでもバルーンからの信号を受信していた。

そして、バルーンの到達予想シミュレーションを用いて予想到着地へと車を走らせていきました。

道中、バルーンからの信号を時々受信しながら、約3時間かけてアイオワの南部へと進んでいきましたが、バルーンの高度900mを最後にGPSの信号を失ってしまいました。

周辺を捜索すること約1時間 全くバルーンの姿を見つけることができず、あとはバルーンに張り付けられた連絡先に誰かが連絡をしてくれることに賭けることになりました。

97年製のカローラで、乗り心地は悪くも興奮していたメンバー達も、帰りの旅路では何か疲れ切った様子でした。

打ち上げから数日後、農家の人から連絡がありました。連絡が来たことは嬉しかったのですが、その内容はショッキングでした。

農家の人はトラクターでバルーンを轢いてしまったとのことで、バルーンに搭載された機器は粉々になっていたとのことです・・・

結果は残念でしたが、この失敗はとても貴重なものです。ものづくりでは失敗から学ぶことが一番です。今回の失敗からは、回収を確実にするためにGPSの位置情報を外部に送信するための手段を複数にすべきということを学びました。

無線以外に携帯通信網を用いれば、バルーンが地上に到達したあとも位置情報を送信でき、回収しやすくなるでしょう。

次こそは地球の丸みを確かめに

来学期はさらに今学期よりも忙しくなりそうですが、このプロジェクトへもしっかりと取り組み、ぜひ高度2万mからの絶景を皆さんにお見せできるよう全力を尽くします!