みなさん、こんにちは。卒業まで3週間を切ってしまいました、四年生のタカヒロです。毎日のように下級生に「もうすぐ卒業だね!!」と言われています。
なんだか不思議と卒業式が近付くにつれて自分の専攻(心理学)への帰属意識が強くなってきました。やはり自分の四年間の中で「心理学専攻」というのがアイデンティティーの一部になったのかなー。というわけで、今回は以前書いた心理学の記事の続きとして、「心理学は面白くて、実は役に立つかも!」という心理学愛全開の話をだらだらっとしたいと思います。
心理学は役立つという話をするに際して、まず僕が今学期取っている授業二つを紹介します。
1. 心理学ゼミ
心理学専攻の四年生が最後に受ける心理学のゼミ形式の授業。「ストレス対処(coping)」「環境サステナビリティ(sustainability)」というテーマを扱い、心理学研究をどうやって社会へ還元するかについて広く考える授業です。
例えば、環境に配慮した行動を促すにはどうすればいいか、という問いがあるとします。トップダウンで人の行動を政策で縛る、というのが一般的な答えかもしれません(現在のアメリカでは環境問題までもが政治のトピックになってしまっているという悲しい状況ですが…)。
心理学では、トップダウンだけでなく(もちろん、それも大事ですが)、個人個人の行動を「中から」変えようというボトムアップなアプローチも大切にしています。この例でいくと、環境に配慮した行動を社会的ステータスに結びつける(社会的な生き物としての心理に問いかける)ことで行動変化を促すというのが心理学的な考えかもしれません。もちろん、実際に変化を起こすには社会構造を利用することが必要かも、というジレンマもあったりしますが…
2. 行動経済学
行動経済学は、心理学と経済学の間の子みたいな学問です。経済学は大まかには「合理的な経済人」という仮定を基盤に成り立っていますが、「実は人間、そんなに合理的に行動しないよね。経済的非合理をもう少し上手く説明できる枠組みを考えよう」としたのが行動経済学です。
例えば、こんなゲームがあったとします:
「あなたを含めて二人のプレイヤーがいます。二人で1000円を分配するとして、相手が分配額を提示し、あなたがそれに合意した場合のみ両者にその金額が支払われます。逆にあなたがその分配額に合意しなかった場合、どちらともお金を得ることはできません。
さて、相手が300円をあなたに分配しようと提示しました(相手は700円を手にしようとしてます)。あなたはその分配に合意しますか?」
ここで「合意」を選んだ人は、合理的な経済人ですね。実際に実験をしたところ、多くの人は均等な分配を求め、300円の提示を拒否したそうです。
確かに、合理的に考えるなら、1円を提示されても、自分の利益になるので受け入れるはずです。しかし実際には、「公平性」を求め、フェアではない提示ならば受け入れない人が多いようです。こんな感じで、ものすごく大雑把ですが、行動経済学は、人間の一見非合理な経済行動を研究する学問です。
就職
さて、僕は5月に卒業し、10月から営業・マーケティングコンサルティング企業に就職します。就職を決めた当初は正直あまり深く考えませんでしたが、今となっては、「マーケティングって心理学や行動経済学と関わりが深いのでは?と思い始めました。マーケティングって結局、顧客の求める価値を把握して、顧客の(購買)行動に影響をもたらすものかな、なんてナイーブに考えています。
あれ、マーケティングって実はビジネスから切り離して「ヒトの行動を変える」ことに活かせるのでは?
こんなことをぼんやりと想像しているうちに、行動経済学とマーケティングを組み合わせて、人の行動をボトムアップ式に変えていくことで社会のシステムに変化をもたらすことができるのではないかと思い始めました。実際にできるかは今の自分にはわかりませんが、面白そうだなって。心理学や行動経済学を学術的な世界に留めず、社会に持ち出して活かしてこそ、心理学をリベラルアーツカレッジで勉強した意味があるのかな、って。
こんな感じで、卒業間近になって、自分が四年間学んだことの先にあるものについて妄想しています。