君の専攻は。

僕は良く友達や知り合い、さらには面接官にこう聞かれます、「どうして心理学を専攻しているの?」「心理学はどう(キャリアに)役に立つの?」「専攻は心理学だけ?」などと。

よくよく考えて見ると、僕が心理学専攻を決めてから、「心理学を専攻にする意味はない」「心理学は科学じゃない」「心理学専攻だと仕事がない」などという心理学に対する悪印象、いわゆる「stigma」や「stereotype」を度々耳にします。(さらには、「キミ心理学専攻?じゃあ僕が今何考えてるか当ててよ!」といった無茶振りも頻発)

確かに、心理学はビジネスや会計学などのような実学でもなく、物理・コンピューター科学・工学などのような「hard science(ハードなサイエンス、あれ、訳になってませんね…)」でもありません。また、「心理学は自然科学ヒエラルキーの最下層」「心理学専攻は仕事がない」などと揶揄されることがあります。(ここまでのことを書いた僕の「行為」はある意味、「self-fulfilling prophecy(=自己充足的予言)」でもあるかもしれません。)

さて、気を撮り直して、今回は心理学に関して主に三点、書いていきたいと思います:

  1. 心理学は面白い!
  2. 心理学は役に立つ!
  3. グリネルにおける心理学とリベラルアーツの関係

では早速。


  1. 心理学は面白い!

本屋に行き、心理学・心理「術」のセクションを見てみると、実に様々な本が置いてあります。ただ、多くの場合これらの本は通俗的やオカルト的なものに過ぎません。

学部専攻レベルでしかない僕が言うのは恐縮ですが、僕が考える現代の心理学は、科学的実験を用いて、人間の心や行動を研究する学問です。読心術など多くの場合科学的に立証されていないようなsuperstition(=迷信)は心理学ではありません。お間違えなく!!

ではここで、社会心理学の有名な実験を紹介し、心理学の面白さを発信していきます。

<スタンフォード監獄実験>

この監獄実験、聞いたことある人もいるかもしれません(僕は心理学を履修するまで知りませんでした)。スタンフォード大学の心理学者ジンバルドーが1971年に行った社会心理学の実験で、大学地下実験室に模擬監獄を作り、20人ほどの大学生を看守と囚人役に振り分け、その「役」を演じさせました。囚人は囚人服を着て監獄に入れられ、看守は見回りなどをしました。

そして、日が経つにつれて、次第に囚人は囚人らしく、看守は看守らしく振舞うようになりました。看守役は時に罰則を与え、囚人役を服従させました。

結局、囚人役の精神状態が悪化したために実験は数日間で中止されました。

さて、この実験からわかることはいくつかあります。

  1. 権力の孕む危険
  2. 状況への帰属

まず一点目に関して、人が「力」を手にした時、正しさの判断基準を失ってしまうことがあります。この実験では、看守という権力を手にした被験者が、権力のない人間(囚人役)に体罰などの非人道的な行いをし始めてしまいました(この点に関してより詳しく知りたい人は、「ミルグラム実験」を調べてみてください)。

次に二点目に関して、人は行動を内的要因(人の性格など)ではなく、外的要因(状況)に帰属させる傾向にあるようです。つまり、看守役の被験者が囚人役に体罰を与えたのは、彼らの性格が歪んでいるからではなく、そのような状況に置かれたからです。

どうでしょう?僕が初めてこの実験のことを知った時、人間は、擬似的な役割を与えられただけで非人道的な行為に及んでしまうという事実に衝撃を覚えました。

そうです!ヒトの心や行動を科学的に研究する心理学は面白いのです!

心理学とは、ヒトの心や行動といった非常に曖昧なモノを、客観的に捉える学問だと思います。


さて、思ったより長くなってしまいましたので、(2) 心理学は役に立つ!(3) グリネルにおける心理学とリベラルアーツの関係については、次回以降に書いていこうかなと思います。

ひとまずは、心理学の面白さを少しでも分かってもらえたら嬉しいです。

ではまた。