TOEFL 111点、英検1級でも困ること

―――今日もフクラハギが痛い。この革靴というのは実に不快だ。着脱も面倒な上に歩くときにコツコツと大きな音がする。これでは「僕いま歩いてます!」と周りに叫んでいるようなものだ。これを楽器にしようと金属板を付けてタップシューズというやつを発明した人は相当耳が悪かったに違いない。

プラットフォームに響く数十人分の革靴の不協和音を飲み込むように、電車がホームへ入ってくる。ドアが開くまでに、乗客との毎朝恒例にらめっこ大会を済ませたら、何事もなかったかのように電車に乗り込む。降りる時は前の人に続いて、小刻みな歩幅で慌てずに。このシンクロ率あっての通常運行である。通勤する人々でチームを組んで二人三脚をしたら、きっと物凄い記録が出るのだろう。

改札への階段を上り始めると、このアナウンス。「電車侵入時の風圧にご注意ください。」細かい。うるさい。日本かよ、ここは―――

そう、ここは日本だ。東京だ。人口約1300万人、都の花はソメイヨシノ、知事はコイケユリコ。公用語は日本語、住民の最低95%は“日本民族”、うち留学経験者は約0.04%(全国で推計約6万人だそうだ)。留学する理由トップ3は「語学力を向上させたい」、「外国人と友達になりたい」、「外国の文化・スポーツ・歴史・自然等に触れたい」だ。純粋。かわいい。

だから最近、よく考える。なんて難しいのだろう、この「同文化交流」は。

目の色や肌の色・化粧品や服装・食べ物や音楽・言語・教育・政治・宗教・歴史まで全てが違っていて、世界は広い、何てフクザツ、ビバ・グローバル!っていうのがアメリカだったはず。グリネルだったはず。

でも東京だって負けてない。ここに住む個人だってフクザツで、自分だけの経験を思想を文化を抱えている。一度「多様性」について考え出したら、東京だってガイコクだ。「常識」もそれほど一般的ではないし、「普通」を見つけるのは難しい。海外にいる留学生だけが、異邦人と向き合っているわけじゃない。

え?抽象的な話ばかりで何を言っているか分からない?現役生や受験生、その保護者に有益な情報を出せ?題名はクリックベイトか?
さすが「ぐりねりす」の読者、正論ばかり。では弁明は次回に。

文句言いながらも元気でやってます

なんだかんだ元気でやってます

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M先輩
・2017年グリネル卒(社会学・ドイツ語専攻)
・皇族御用達高校卒、早○田大学中退
・日系コンサルティング会社勤務
・最近読んだ本:『困った上司とかしこく付き合う傾向と対策』