グリネル生の夏休み・インターンシップ前編

Kwame

七月上旬にまる三日かけてタンザニアから帰国し、すぐに都内にある大手清涼飲料の外資系企業でインターンシップを始めた。出張のタイミングの影響で、渡米前日まで6週間の勤務となる。

会社では、政府省庁や業界団体への政策渉外やコミュニティへの社会貢献活動を担当している。応募当初は、民間、グローバル企業として自身の興味のある環境問題や社会正義にどのようなインパクトを与えられるかについて学ぼうと考えていたが、グリネルでのアクティビズム、タンザニアでの自然に回帰したライフスタイルを経てからの、西側資本主義を代表する組織で働く経験は、想像したよりもはるかに自身の生き方、社会構造に対する葛藤を生んだ。また、自分の周りに親戚も含めて企業に勤める人が全くいないため、ビジネスの雰囲気を見るという目的もあったが、インターンシップを通して会った人々の生き方、考え方、アドバイスには疑問を持つ部分が多かった。最近は、グリネルのⅯ先輩に会って色々と話をしたこともあって少しずつ考えがまとまってきている。

グリネル、タンザニアで身を投じて学んだことは新鮮で革新的だった。日本で必要だと思っているものは実は必要ではないし、貧しさと人生の豊かさは比例しないと自分の体験から知った。なぜウォシュレット付きのきれいな水洗トイレが必要なのか。なぜ美味しいレストランで高い食事をしたいのか。タンザニアで自分は、便座のとれたトイレや雨水の冷たいシャワーを使っていたし、洗濯もすべて手洗いでやった。東京で食べる焼肉よりもタンザニアの村を訪ねてごちそうになった良くわからない豆料理のほうが全然おいしかった。生活水準は日本より格段に低かったが、人々の生活は哀れどころか先進国に生きる私たちより、よほど人間的であった。経済的な貧しさが悪だとする慈善活動の発想すら間違っていると感じた。世界中の人々が日本並みの生活を手に入れたら地球は耐えられないし、もっと貧しい大地に根差したライフスタイルを肯定的にとらえてもよいのではないかと思う。

また、グリネルで先学期、全米規模のカンファレンスに参加して知ったプリビレッジの考え方と、ダコタアクセスパイプライン反対運動を通して学んだ反グローバル資本主義的な考え方が、今の自分の人生哲学を大きく形成してしまったように感じる。プリビレッジの考え方は便利で、資本主義の階級構造の歪みや文化的な差別主義など、社会のあらゆる不正義をうまく説明しているように思う。また、スタンディングロックに代表される、民衆を圧迫するグローバル資本対プリビレッジを持たない市民という構図から、反権力側に立ち、プリビレッジが支配する世界構造を変えたいと考えるようになった。

Kwame

中編に続く